TPO・着用シーン | 素材や織りによって変わりますが、主には浴衣に合わせます |
---|---|
有名なもの ※染・メーカーなど | 西陣全般 |
伝統工芸品 博多織の半幅帯について

経済産業大臣指定の伝統的工芸品となっているものの中に博多織があります。博多織は1241年、鎌倉時代に、博多生まれの商人である満田弥左右衛門(みつだやざえもん・1202年~1282年)が宋から絹織物の技術を持ち帰り、商品を作っていったのが始まりと言われています。
満田弥左右衛門は当時の中国に6年の間滞在し、織物も含め5つの製法を習得した後、日本に持ち帰りました。この織物の技術は家族だけに伝え、代々弥左右衛門の子孫がその技法を受け継いできました。
そして弥左右衛門が宋に渡ってから約250年後、弥左右衛門の子孫である彦三郎(ひこさぶろう)が当時の中国に渡り、さらに織物技法を学んできました。日本に帰ってから協力者の助けを得て絹織物の改良を施し、作り上げたものが「覇家台織(はかたおり)」です。
江戸時代になると、博多織は博多の領主から江戸幕府へと献上されるようになりました。そして、この献上されていた織物の柄であった独鈷(どっこ)と華皿(はなざら)を献上柄と呼ぶようになりました。ちなみに独鈷も華皿も仏具をデザインしたものです。
献上柄は最高級品の絹で造られており、厚みと張りがあります。作る過程で細い経糸(たていと)をたくさん使い、太い緯糸(よこいと)を打ち込むことで横状の畝(うね)ができます。
この畝のおかげで締めたら緩まないという特徴があったため、刀を差す武士の帯にもよく使われるようになりました。
そして、博多織の半幅帯は緩みにくいのに外しやすいという利便性と絹100%という高級感を併せ持つ帯であるため、父の日などのギフトに選ばれています。もちろん、女性用の博多織の半幅帯も多数あります。
年代別の半幅帯の結び方

半幅帯は結びやすく、結び方のバリエーションも豊富です。ここでは年代別におすすめの結び方を紹介します。
蝶結び
まず、中学生から30代くらいの女性まで楽しんでいただける結び方として、蝶結びがあります。
蝶々が止まっているように見えるかわいらしい結び方です。造り帯と違い、自分で結べば自分の体形に合わせて蝶の羽の大きさを調節できますし、結ぶのもそれほど難しくはありません。
リボン返し
30代から粋に着こなすのであればリボン返しという結び方がおすすめです。
リボン結びのリボンを小さめにして、帯の端二つをその上に垂らし、リボンの中心をたれで隠す結び方です。かわいさをちらりとだけ見せる、大人らしくも女性らしい結び方となっています。
レイヤー結び
同様の年代でかわいさよりも落ち着きを優先するのであれば、レイヤー結びがよいでしょう。
レイヤーとは「層」のことで、ミルフィーユのように帯を層のように重ねる結び方です。上記の蝶結びや文庫結びなどはリボンのようなかわいらしさが入っていますが、レイヤー結びは帯の四角さを利用しているので、大人っぽくモダンに仕上がります。
カルタ結び
40代になると、よりスッキリとした女性らしさを見せるカルタ結びがおすすめです。これは帯を平たく畳み込む結び方で、平らに仕上がるので電車に乗る時やイスに座る時など、帯の型崩れを気にせずにいられるという利点があります。
他にも、江戸時代の武家の女性がしていた由緒ある文庫結びは、リボン結びとも言われるように二枚の羽根があるような形をしていて、かわいらしさの中にもキリッとした趣があります。
歴史的に見て若い女性に適しているという見方もありますが、現代では年代が限られるような結び方ではありません。蝶結びより簡単ですので、ぜひマスターしてみてください。
さらに、男性でも女性でも使える結び方で、貝の口と呼ばれる結び方があります。こちらは、レ点にレ点を重ねるイメージで締めます。柔らかい素材の帯だとほどけてしまうので、博多織などしゃきっとした帯が向いています。
他にも両面が別柄の半幅帯で結ぶと映える姉様結びや、文庫結びを発展させた花文庫など、結び方のバリエーションは豊富ですので、結び方に合わせて半幅帯を選ぶのもよいでしょう。