TPO・着用シーン紬と同じく洒落着や普段着ですが、上布は盛夏(7~8月)に着用します
有名なもの ※染・メーカーなど宮古上布、越後上布、能登上布 など

上布ってどんな着物?

上布

上布の着物は、7~8月の盛夏に着用される洒落気や普段着です。シャリ感があり通気性が良く、さらっとして肌に密着しないため、夏でも暑さを感じにくく快適です。

その一方で、麻特有のしわになりやすいという欠点もあります。着用の際はしわに気を付けて振る舞うなど、少し注意が必要です。

上布は全国各地に産地があるため、それぞれの地で気候や風土に合わせた独特の技法が発達し、独特の風合いをもっています。代表的な上布には、越後上布、宮古上布、近江上布、能登上布などがあります。

越後上布・小千谷縮

越後上布・小千谷縮は、新潟県の南魚沼市と小千谷市で作られる平織の麻織物です。越後上布と小千谷縮は材料も技法もほぼ同じですが、小千谷縮は緯糸(よこいと)に強い撚り糸を使用する点で異なります。

1955年、越後上布と小千谷縮は重要無形文化財に指定されており、2009年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されています。無形重要文化財の指定要件には以下の5つがあり、それを満たした織物のみが越後上布といえるのです。

重要無形文化財の要件

1.すべて苧麻を手績みした糸を使用すること。 2.絣模様を付ける場合は、手くびりによること。 3.いざり機で織ること。 4.しぼとりをする場合は、湯もみ、足ぶみによること。 5.さらしは、雪ざらしによること。

出典:越後上布・小千谷縮布技術保存協会「重要無形文化財の指定要件」より http://www.johfu-chijimi.jp/concept.html

こうした伝統的な技法で生産される越後上布は、年間30反ほどしか生産できません。そのため希少価値が高く、値段も高額になります。上布の最高級品であり、日本を代表する麻織物といえるでしょう。

一方、小千谷縮寿や古代越後上布は機械紡績糸を用いて生産されており、伝統的な技法で作られる上布に比べて、安価で手に入りやすくなっています。

宮古上布

「東の越後、西の宮古」といわれるほど、最高級麻織物のひとつとして知られているのが宮古上布です。沖縄県宮古島で生産される麻織物で、藍染めで緻密な絣が特徴です。

苧麻の栽培から、手作業での糸績み、図案と絣締め、染色、製織、洗濯加工(砧打ち)など、すべての工程を宮古島で行います。着尺地を作るためには、糸績みに半年かかり、糸から織り上げるのに数か月かかります。

職人が織れる分量は1日20~30cmほどしかなく、途方もない時間を要します。それゆえ、希少価値が高く、値段は高額になります。

色は伝統的な藍色が有名ですが、最近では白や明るい色合いの宮古上布も生産されています。艶やかな質感と涼しげな透け感、美しい力強さもあります。通気性に富み、三代物といわれるほど丈夫です。

近江上布

近江上布は、鎌倉時代に京都からやってきた職人が技術を広め、江戸時代に盛んに生産されました。

経糸(たていと)に苧麻糸や手績みした大麻糸を使用し、糸は絣染めをして平織します。絣糸の染色は、櫛押捺染(くしおしなっせん)もしくは型紙捺染(かたおしなっせん)という伝統的な手法が用いられています。

織り上げたあと、しぼ付けという独特の縮み加工を施すのが特徴です。

能登上布

能登上布は中能登地方一体に古くから伝わる伝統工芸で、こちらも麻織物の最高級品です。石川県指定無形文化財となっています。

「能登の白絣は一生もの」といわれるほど、緻密で丈夫なのが特徴です。昭和に入り、ラミー糸を使用することによって、より細やかな絣模様が生産できるようになりました。

能登上布では、櫛押捺染や板締め、ロール染、型紙捺染など熟練の技を駆使して、緻密に絣を付けていきます。横幅に120~140個もの十文字絣を正確に合わせていく緻密さは他に類をみません。

上布の着物に合わせる帯とは?

帯を選ぶ際に注意しなければならないのは、格と素材と色です。帯は着物の格に合わせますので、上布の着物には名古屋帯が良いでしょう。

さらに、上布は盛夏の着物ですので、帯も夏帯を選ぶようにします。

夏帯には絽、紗、羅、麻、博多帯などがあり、それぞれ織り方や素材などが異なります。絽は緯糸または経糸を、数本おきに隙間を作って織ることによって、縞模様を作り出します。

隙間の幅を3本おき、5本おきとすることで縞の幅を広げたり狭めたりします。紗は、絽と同様の織り方でざっくりと織られていて、羅はさらにざっくりとした織り方でもっとも透け感があります。

博多帯は一年を通して着用できますが、夏物の上布に合わせる場合は暑苦しくならないように、涼やかな色柄を選ぶと良いでしょう。

上布の模様について

上布の模様には絣があり、越後上布では伝統的な技法で作られています。絣模様の図案に基づいて作られた紙テープなどを用いて、手績みした糸の束に印を付け、その箇所を綿糸でくくってから染色します。

こうして先染めした糸を経糸のみ、または緯糸のみに使用したり、経緯の両方に使用したりして、絣文様に織り上げていきます。絣模様には、亀甲絣、十字絣、蚊絣、幾何学模様などがあります。