TPO・着用シーン街着としてが基本の洒落着
有名なもの ※染・メーカーなど大島紬、結城紬、牛首紬、黄八丈など

有名な紬着物について

紬織りの中でもとくに有名なものに、鹿児島県の奄美大島を発祥とする「大島紬(おおしまつむぎ)」や、茨城県結城の「結城紬(ゆうきつむぎ)」のほか、新潟県南魚沼市周辺で生産される「塩沢紬(しおざわつむぎ)」などがあります。

紬の代名詞ともいえる大島紬は、泥や藍(あい)、草木などの先染め技法と独特の絣(かすり)使いが特徴で、絣糸と地糸の色によって一反の中に500万から1000万の絣(点)を織り込むことで美しい模様を浮かび上がらせています。

そして、鮮やかな黄色にくっきりとした縞模様や格子柄が印象的な紬は、 東京都八丈島を原産地とする「黄八丈(きはちじょう)」です。江戸時代には将軍家や大奥などの限られた人びとから親しまれていましたが、歌舞伎の有名な演目である「八百屋お七」などで役者が着用したことによって大ブームになったといわれています。

さらに石川県の「白山紬」や沖縄県の「久米島紬」なども有名で、白山紬のひとつである「牛首(うしくび)紬」は着物を釘に引っ掛けても釘の方が抜けるほど丈夫なことから「くぎ抜き紬」の別名もあります。

すぐれた麻織物として知られる越後上布の伝統的な技法で作られている「塩沢紬」は、ユネスコの無形文化財にも指定されている芸術性の高い織物で、生産量が少ないことからも「幻の紬」と呼ばれています。ほかにも綿紬では愛媛県松山市の「伊予絣」や、福岡県久留米市周辺で生産される「久留米絣」が有名です。

紬のおしゃれな着こなし方法について

紬を着た女性

紬には留袖や付け下げのような華やかさこそないものの、渋く落ち着きのある佇まいのおしゃれ着として人気です。「普段着の着物」というと気軽で身近な存在のように感じられますが、日ごろ和服を着る習慣のない現代人にとって、さりげなくおしゃれに紬を着こなすためには押さえておきたいくつかのポイントがあります。

紬の選び方には着る人の好みも大切ですが、迷ってしまった時には若い方なら明るめ(白が多め)のものを、中年から年配の方は深みのある色を選んでみましょう。

帯も重要で、個性的で遊び心のある染めの名古屋帯や、あまり煌びやかでないおしゃれな袋帯などは紬との相性がよいようです。沖縄の特産である「琉球紅型(びんがた)」の帯も定番で、紬のコーディネートがおしゃれで華やかな印象になります。トレンド感を出すのであれば、紬よりも明るい色の帯を合わせてみましょう。

帯揚げや帯締めといったアクセント小物や裾裏に張る「八掛(はっかけ)」は、色が目立ちすぎてしまうと野暮ったくなりがちです。はじめは同系色でまとめてみるのがおすすめです。

着物に関しても自由な着こなしが注目を集めている昨今ですが、それでも着物には一定の慣わしがあるのも確かです。今でもTPOや季節感といった昔ながらの決まりごとを守ったうえで個性を楽しむことが「粋(いき)」とされています。

紬は普段着として用いられてきた経緯があることから、たとえ贅沢に作られた希少な反物であっても「晴れ着(正装)」として仕立てられるわけではありません。紬の価格には関係なく、結婚式や入学式などの式事にはふさわしくないといわれています。

紬の原料、紬糸(つむぎいと)とは

一般的な絹織物に使われている絹の生糸が蚕(かいこ)のまゆを丁寧にほどいて作られているのに対して、紬の原料となる「紬糸(つむぎいと)」は、生糸を採取したあとに残った繊維の短いまゆを集めて潰し、真綿にしたものを手で捻りながら細く糸状に紡ぎ出したものです。

真綿は細い絹糸の繊維が複雑に絡み合って形成されているため、非常に軽くて丈夫です。さらには糸に撚りがかかっていることで、光沢が抑えられてハリのある生地を作り出します。

紬は糸の段階で染色して織り上げる先染めの織物です。6種類の染色法と14種類の糸の配列があり、これらの組み合わせによって84通りに分類できます。さらに細かな折り柄などが加わることによって、控えめでありながら多彩なバリエーションを楽しむことができます。