TPO・着用シーン披露宴、見合い、結納、茶会(基本的には訪問着と同じですが、少し格式が下がります)
有名なもの ※染・メーカーなど加賀友禅、京友禅、東京友禅 など

似ているといわれる訪問着との違いについて

先述したように付け下げは一般に訪問着の代用品であり、訪問着からはやや格が落ちるとされています。しかし、小紋よりは格が高いとされているので、訪問着と小紋の間の格を持つ着物とされています。

また、訪問着と付け下げにはいくつかの細かな違いがあります。例えば、呉服屋さんですぐ試着できるようにすでに仕立てられているのが訪問着で、反物のままにしてあるものが付け下げです。しかし、この違いは着物として仕上がってしまうと見分けることができません。実際に仕上がった着物が訪問着なのか、付け下げなのか呉服屋さんの店員ですら判断に迷うケースがあるようです。

完成した状態で見分けるポイントは、一見して柄がきらびやかだったら訪問着、柄が比較して地味目だったら付け下げと判断することができます。「訪問着でお越しください」との提案があれば格式の高いきらびやかな柄の着物をチョイスできますし、「付け下げでお越しください」と求められれば、地味目な柄の着物を選べるでしょう。そのほかにも、付け下げは柄の付け方が画一的ではなく、柄が縫い目をまたがない、すべての柄が反物幅全体に描かれているなどといった点でも見分けることができます。

七五三で着用する付け下げの選び方

七五三で付け下げを着る女性

七五三の主役はお子様です。そのため、お母様もおしゃれをされるかと思いますが、お子様よりも目立ってはいけません。付け下げは過度に派手にならず、なおかつ品よくおしゃれができるため、訪問着よりも場に馴染むでしょう。では、どのような付け下げを選べばよいのでしょうか。

まず、大切にしたいのが季節感です。七五三は10月~12月に行われます。秋になさるのであれば、紅葉や秋の花の柄がよいでしょう。ただし、こうした秋限定の着物はほかのシーズンには使えないため、複数の着物を嗜むようであれば問題ありませんが、オールシーズンでの使用をする場合には適していません。

その場合は、四季折々の花が描かれている着物などがよいでしょう。また、「四君子模様」と言われる、梅、竹、蘭、菊がそろっている模様は、格が高い上に夏以外の3シーズン着られるので重宝します。

また、七五三は嬉しい行事なので、明るい色が好ましいでしょう。お子様は赤やピンクのような派手なお色の着物が多いので、お母様は少し淡い感じのある明るい色彩がおすすめです。

絵羽付け下げと着尺付け下げについて

絵羽付け下げとは、絵羽風に模様が描かれている付け下げのことです。絵羽風とは、縫い目でちぐはぐになっていない一続きの模様が描かれている柄のことです。

訪問着などの絵羽付けは白い生地を仮縫いし、そこに模様の下書きをします。そしていったん仮縫いを取り、柄を染め上げます。それからまた着物の形に縫っていきます。一方で、絵羽付け下げの場合、仮縫いをせずに直接白い生地に柄を染め上げます。仮仕立ての工程を減らすことでコストを下げ、大量生産がされたのが絵羽付け下げです。

一方、着尺付け下げとは着物全体に柄がびっしりと敷き詰められていたり、模様が全体に飛んでいたりする種類の着物のことです。小紋と似ていますが、その最大の違いは、小紋が模様が場所によってはさかさまになってしまっているのに対して、着尺付け下げではどこを見ても模様が肩山に向かって上向きになっています。

付け下げにつける紋について

着物につける紋には一般的に「抜き紋(染め抜き紋)」「縫い紋」の2種類があります。燕尾服のように特別な日の着物には抜き紋がつけられます。その一方で、縫い紋は刺繍で付けるタイプと紋の描かれた布を貼り付けるタイプがあります。抜き紋の格は縫い紋よりも高いので、略礼装の装いになってしまいます。

また、一般的に紋を入れない状態で着用する付け下げですが、お茶会のような席では1つ入れる程度の装いが適しているとされています。紋を入れる時には目立たないように縫い紋を入れるようにします。白色に紋の輪郭を染めた陰紋も付け下げに適している紋の1つです。

今は訪問着とほとんど変わらない格に見える付け下げも多く作られるようになってきていて、1つ紋を入れることで訪問着に準じた格に至るものもあるので注意が必要です。また、もともと付け下げは訪問着の代用品であるため、訪問着のように紋の形を白く染めた正式な日向紋を使用することはまずありません。