訪問着とは?どんな着物なの?

訪問着は略式の礼服として披露宴やお見合い、入学式などの特別なイベントから、お茶会やホテルでの食事会など趣味のイベントにも着用できます。
着物の中でも最も幅広く活用できるので、着る場所によってふさわしい色や柄を選んで上手に着こなせば、長年にわたって愛用できるでしょう。
また、絵羽模様(えばもよう)という生地の縫い目にまたがる模様が特徴で、染めの技法は加賀友禅、京友禅、東京友禅などが代表的です。
TPO・着用シーン | 披露宴、見合い、結納、茶会など |
---|---|
有名な染め方 | 加賀友禅、京友禅、東京友禅など |
絵羽模様は訪問着の最大の魅力!

絵羽模様は、身頃(みごろ)から袖、衽(おくみ)に至るまでひとつながりに描かれた模様です。
着物全体に模様につける「総模様」、肩から裾からはじめ柄が広がった「裾模様」、着物の裾の部分につける「肩裾模様」など配置によって絵付けの仕方が違います。
絵羽模様は留袖や色留袖、振袖などの格が高い着物に用いられますが、訪問着には肩と裾に模様が入るのが主流です。
また絵羽模様を作るには、白い生地を採寸してから着物の形に仮で仕立て上げて、模様を描きます。この仮縫いの状態を「仮絵羽」と呼びます。
次に縫い目をほどいてから模様染めや刺繍を施して本縫いに入ります。
本縫いに入る前に縫い目をほどくと、縫い目の線をまたいだ一連の模様ができあがるのです。
結婚式で着る訪問着のコーディネートは?
訪問着は色彩や種類によっては、上品な着こなしから粋な着こなしまでできます。
特に、華やかな色の訪問着は結婚式などのおめでたい席にピッタリ!
ここでは、訪問着のコーディネートの仕方をご紹介します。
訪問着はどんな人が着用できる?
訪問着は未婚・既婚を問わず結婚式で着られます。
振袖のように袖が長いわけではありませんので、若い女性でも控えめな印象になって、おめでたい席に華を添えられます。
しかし、結婚式にはお祝いの気持ちを込めて正装で出かけるのが慣わしですが、新婦よりも目立つ装いははばかられます。
白地一色に見えるような訪問着や帯を含めて、花嫁衣装と重なる色は避けましょう。
また、列席される親族の方々の黒留袖と見紛うような黒い着物は、避ける気遣いも大切です。
生地の色や柄はどのように合わせるといい?
結婚式などのおめでたい席に出るなら、少し豪華な着こなしがよいでしょう。
訪問着の色は金や銀箔の入った明るい色に、帯は松が描かれた「吉祥文様」や、麒麟や鳳凰が描かれた「正倉院文様」などの古典柄、縁起がよいとされる梅や桜、生き物の柄などが合います。
また、金銀の箔の入った袋帯を使えばゴージャスになって、おめでたい雰囲気を醸し出せます。
格調高い古典柄や豪華な着物には、一つ紋を付けるのがふさわしいです。
親戚や目上のお宅を訪問するときのコーディネート
結婚式と同じように格調高い柄の着物を活用できますが、抑えめの色の方が良いでしょう。
淡くて少しくすんだピンクや水色で色数の少ない古典柄の着物と、落ち着いた金箔の袋帯を合わせると上品に仕上がります。
淡い色の着物を着ると顔色も明るく見えるので、初めてお会いする親戚や目上の人には印象良く見えます。
食事会や趣味の集まりに行くときのコーディネート
食事会なら濃い紺色で白い草木模様が散りばめられた着物に、光沢感のある白い名古屋帯などをアクセントに使うと、全体が締まって粋に仕上がります。
また、食事会なら紬の訪問着もおすすめです。
生地の色が薄くて質素な柄が多いので気後れせずに着られます。
夏に訪問着を着るときのコーデ
夏の訪問着には絽(ろ)と紗(しゃ)がおすすめです。
生地の目が開いていて通気性がいいので、6月~9月まごろまで着られます。
夏に結婚式があるなら絽の着物を選びましょう。
生地に隙間が空いていますが、途中で平織されているため紗よりも透け感が少なく、フォーマルな印象を与えます。
食事会や趣味の予定が夏にあるなら紗の着物が良いでしょう。
全体的に隙間が同じ間隔で空いているので、絽よりも通気性が良いです。
紗の着物は光に当てるとレースのカーテンのように薄いものもあり、見た目が夏らしくカジュアルに着られます。
また、透け感のある着物に合わせて帯も麻や綿などを使うと、涼しげな印象に仕上がります。
初めて訪問着を着るならレンタルがおすすめ!
着物は、結婚式場やネットから申し込んでレンタルできるサービスも増えているようです。
訪問着を購入しようとすると手の届かないような高級品もありますが、レンタルにすれば手頃な価格で借りられて、着るたびに違う着物を選べます。
また、レンタルなら店内で試着から当日の着付けやヘアメイクもできる店舗もあり、店舗に行く時間のない人でも訪問着のセットとして長襦袢や帯、足袋などが入った持ち運びバッグを自宅に届けてくれるサービスもあります。
着用に必要なのは補正用に使うタオルだけだから、自宅にあるもので対応できます。
店員さんが体格に合うベストな着物を選んでくれるので、着物を試着したことがない人でも安心してゆだねられます。
レンタルをする場合の注意点
訪問着のレンタルは小物もセットで借りられる場合が多いですが、自分で用意するものは何かを必ず確認しておきましょう。
披露宴には着るのが楽なドレスで参列する人も多いですが、訪問着はアイテム数が多いので当日の1週間~2週間前には手元にあるように、余裕を持って手配することをおすすめします。
また、自宅まで訪問着セットを届けてくれるサービスには配送料が無料のところもあります。
汚したり縫い目がほつれてしまったときの修繕費は、レンタル料金と一緒に保険として払うか、保険がきかない場合は自己負担になる可能性があるので、契約時によく確認しておきましょう。
今までドレスで結婚式に参列していた人も、訪問着を着れば格式の高い雰囲気を味わえて、さらに新郎新婦に「自分たちを祝ってくれている!」と喜んでくれるでしょう。