お客さまとの時間を大切に

「㐂宵(きよい)」若女将

「㐂宵」は、渋谷のセンター街を抜けた先にある奥渋エリアに位置します。日本酒をメインとし、手作りの家庭料理でおもてなししてくれる小料理屋です。

インタビュー後編では、大切にしている常連の方々とはどのように過ごしているのか、そして着物に関するお話などもじっくりお伺いしました。
着物を選ぶ際にも参考になるインタビューとなりましたので、ぜひご覧ください。

常連さんと距離を縮めるイベント

「㐂宵(きよい)」若女将

「㐂宵」では、以前は頻繁にイベントを開催し、常連さんとの交流を図っていたと言います。
これまでどのようなイベントを開催されていたのか、そして常連さん同士の仲の良さなどについてお伺いしました。

―イベントはよく開催していたんですか?

そうですね。創立イベントや日本酒のイベント、それにお客さま・スタッフの誕生日会とか、月に1回は開催していましたね。

―日本酒のイベントって、どのようなことをしていたんですか?

最後に開催したイベントでは、地元のお酒だけを集めるという内容でした。
東京は今日本酒の流通がすごく良くなっているんです。酒屋さんのお酒を集める技術がすごくて、東京で手に入らないお酒ってないんじゃないか?ってくらい(笑)
イベントでは、そういうお酒は省いて、東京に来ているラベルでも地元でしか買えないお酒、本当に地元にしか売っていないお酒を十数種類集めて皆で飲みました。

―結構レアなも日本酒も集まったんですか?

そうですね!一升瓶って東京では3,000円前後が一般的な価格なんですけど、一升瓶で1,200円とか1,500円とか。東京で味わえないお酒が手軽に飲めて、すごく面白かったです。

―イベントはどのようにすれば参加できるんですか?

飲みに来たお客さまにイベントのお知らせをしたり、Instagramで告知したり。参加される場合はご予約いただいています。
うちは13席しかないんですけど、結構すぐ満員になっちゃいますね。

―イベントでは常連さんとの距離も縮まりそうですね

仲良くさせていただいています。
常連の方同士もとても仲が良いです。元々おひとりのお客さまが多いんですけど、もう皆さんお知り合いのような感じで。
私がお話しなくとも常連の方同士で盛り上がってくれていますね。ここじゃないところにも飲みに行ってくれていたりして、それはそれで良いなと。

コロナ禍でもコミュニケーションを大切に

「㐂宵(きよい)」若女将

コロナ禍で休業や時短営業を余儀なくされた飲食店でしたが、その期間「㐂宵」ではどのような対策を講じていたのでしょうか。
お客さまとのコミュニケーションの取り方について、工夫されていた点をお話いただきました。

―感染が拡大していた5月6月はどのように営業されていたんですか?

国の発表に従って、その通りに休業したり時短営業したりしていました。スタッフの子たちも不安だったと思うので、随時連絡を取っていましたね。店の再開時にはみんなやめることなく戻ってきてくれたので安心しました。
むしろコロナ中に採用したので、4名ほど増えたんです。これまで正社員としてバリバリやってた子が、この機会に飲食業をやりたいからって転職してきてくれた子もいました。

―休業していた期間は常連さんと会えない時間も多かったのでは?

毎日のように来ていただいていた常連の方もいらっしゃったので、いきなり会えなくなってしまったのは寂しかったですね。
そこで、女将と常連の方たちとでオンライン飲み会を開催したんです。それも、なるべく画面に映るめいいっぱいの人数で(笑)週に1、2回は開催していましたね。

―少しでも多くのお客さまとコミュニケーションをとるように工夫していたんですね

そうですね。コロナ禍でも、オンラインというかたちではありましたが、お客さまと「つながり」をもてていたのは嬉しかったです。
最初は慣れないテレビ電話の操作に苦戦していた方もいたんですけど、回を重ねるごとにだんだんと慣れてきて。
お客さまとは、会えない状況でもコミュニケーションは忘れずにとっていました。

―お客さまが安心して来店ができるポイントはありますか?

「㐂宵(きよい)」店内飛沫防止フィルム

カウンターの席と席の間や、厨房との間に飛沫防止フィルムを設置して、女将はフェイスシールドやマスクを必ずしています。
従業員はもちろん、お客さまにも手洗いにご協力いただいたり。風通しも良いのでドアも全開にして換気しています。

―お客様の入りは徐々に戻ってきているのでしょうか?

戻ってきてますね。一時は、やはりお客さんの数が減って、常連の方が週2回のところ3回来てくれたりして。とても嬉しかったのですが、その反面申し訳なくて、客足が早く戻るといいなと思っていました。
10月くらいからは、出張で来られる方とか新規の方とか、お客さまが増えてきている状況です。

非日常を感じられる「和」の装い

「㐂宵(きよい)」若女将

普段、女将がお店に出るときは二部式の着物を着ているということですが、今回は取材のために長着の着物を着てきてくださいました!
薄いピンク地に花柄の模様の着物がとてもお似合いです。
それでは若女将に、着物を着てお店に立とうと思ったきっかけや、二部式着物を制服にした理由などをお伺いしていきましょう。

―なぜ着物を着てお店に立とうと思われたんですか?

着物を着ることで、非日常を感じられる点がいいなと。
あとは、お料理やお店の雰囲気とか、ほっこりする昔ながらの心温まるものを意識しているので、「和」を取り入れたいなという気持ちがありました。
とはいえ、毎回いちから着付けて準備して…ってなるとどうしても大変で。スタッフたちの「着物を着ること」へのハードルを低くするためにも、簡単に着られる二部式の着物にして、手軽に「和」を取り入れるようにしました。

―なるほど。なかには着物を着るのが久しぶりというスタッフさんもいたのでは?

二部式でも着方に戸惑う子とかもいましたね。足袋ってどこに売ってるんですか?とかね。
逆に私なんかはお店で割烹着を着ているので、家でもエプロンでなく、割烹着を着ていないと落ち着かないんです。日常でも自然と「和」を取り入れてますね。

―着物自体は普段は着られないんですか?

そうですね。前は着ていたんですが、子供が生まれてから生活が変わってしまったのでなかなか…。着物はたくさん持っているので、勿体ないくらい。
今日はほんと久々に着ました!2、3年ぶりくらいに着たかもしれません。

―ブランクがあっても着られるものなんですか?

いや~、ちゃんと着られているか分からないです(笑)YouTubeで何回も見ながら着ました。

着物との出会い

「㐂宵(きよい)」若女将

若女将の着物との出会い、着物への想いについて色々とお聞きしました。

―初めて着物を着たのはいつですか?

美容学校に行っていたので、そこでの着物の授業でですね。着付けやマナーを習いました。
当時はYouTubeとかもあまりなかったので、教科書片手に頑張って着ていました(笑)

―その後、お店を始めるまでは着物は着ていなかったんですか?

その間、自分で着るのは成人式くらいだったんですが、美容師としてお客さまの着付けをしていたので着物にずっと携わってはいましたね。
だから、お店で自分で着物を着るときも、これまでの経験や知識を活かしつつ着ることができました。

―最初に着物を着た頃と現在とで着物への印象に違いはありますか?

全然違いますね。
前は着物に対して特別感があって、一生に一度のイベントで着るもの、そして「着物=大がかり」なイメージでした。
今では着物や帯の組み合わせを考えるのが楽しくなるくらい、少し余裕が出てきましたね。呉服屋さんがあるとついつい入っちゃいます。着るときのことを想像して小物を見たりするのが好きで。

―着物や小物は、昔に比べて買いやすい値段のものも多いですもんね

安く気軽に買えるっていうのは良いですよね。
着物の流通が店舗だけでなくネット上とかにも増えているので便利だし、初心者の方でもチャレンジしやすいですよね。
ネットはお店のイベント前に、よくチェックしています。

着物・帯を選ぶときは計画的に

「㐂宵(きよい)」若女将

若女将が着付けで気を付けていることや、着物コーディネートのポイントについてお聞きしました。

―着付けで気を付けていることはありますか?

背が低いので、バランスをすごく考えるようにしています。何も考えないで買うと、「あれ、すごい長い…」ってなるので(笑)できるだけ自分の体型に合うように。
あとは色ですね。着物は買ったもの以外にも、もらったものもたくさんあって。色によっては、合わせたらすごい渋くて老け顔になるものもあるんですよ(笑)
なので、年齢や体型、顔に合うような着物をなるべく選ぶように意識しています。

―着物や帯をコーディネートする際のポイントを教えてください

あとは、あまり柄同士にならないように気を付けています。
着物と帯って、結構柄と柄を組み合わせることが多いと思うんですけど、その見極めが難しくて。
ずっと見ていると分からなくなってくるんですよね。だから写真を撮って次の日に見たりして、「やっぱこれ違うな」って組み合わせを変えたりして。ちゃんと計画的に選ぶようにしています。前日だと不安なので、何日も前から「この日はこの組み合わせで」って選んでおきます。

―もしかして今日も計画的に選んでいただいたんですか?

そうです(笑)1週間前くらい前から選んでいて、母と相談しながら決めました。

―ありがとうございます(笑)着物選びを楽しむポイントは?

私、帯締めが大好きで!今回も「どの帯締めにしようかな」と見ていたら40本くらいでてきて(笑)
中でもアクセントカラーが好きで、軽い着物のときにしか派手な色・柄を付けられないですけど。とにかく帯締め選びが楽しいです。

―好きな着物の色・柄はありますか?

「㐂宵(きよい)」若女将

色は緑や青が好きなんですけど、似合わなくて…。もう少し年齢を重ねてからかな?と。年齢の違いによって楽しめるので、それも着物の良いところだなと思います。
柄は花柄が結構好きですね。特に辻が花が好きです。
あとは絞り染めが好きなので、ついつい買ってしまうんですけど、同じようなものが家にあったりとかして…。洋服と一緒ですね。
帯も一部絞ってあるのとか好きで。でも、絞りはなかなか着こなしが難しいです。

―着物を着る際の髪型はいつもどのように決めていますか?

お店に立つっていうのもあるんですけど、髪型はスッキリさせることを意識していますね。
結構ふわふわっとニュアンス系の可愛い髪型を着物に合わせる方も多いじゃないですか?
若い子がやっていると可愛いんですけど、30代になってきて、ちょっとそれもなあと思って。顔周りはなるべくスッキリさせるようにしています。

―プライベートでも着物は着られますか?

最後にプライベートで着たのは、黒留袖です。近い親戚の場合は、黒地のワンピースとかではなくて、着物を着るようにします。
あとは子供のお宮参りとか友達の結婚式とか、そういうイベントごとでは、いつも洋服やドレスよりも着物を選びます。自分の結婚式の写真を撮るときも着物を着ましたね。

―私服を着るときと着物を着るときの違いってありますか?

前は違ったんですけど、だんだん非日常だったのが日常になってきました。なので、着るのもそんなに億劫でもないし、緊張感もなくなってきて、程よく楽しめています。
あとは、私服も着物も無理のないようにっていうのを考えて着ていますね。
動きやすいとか苦しくないとかを意識して「頑張らない」「楽しもう」という気持ちを大事にしています。

―前編・後編に渡り、インタビューありがとうございました!

さいごに

「㐂宵(きよい)」若女将

今回のインタビューを通して、若女将の「仕事を楽しむ」というよりも、むしろ「自然に楽しんでいる」姿勢がとても伝わりました。お客さんやスタッフさんへの配慮も欠かさないあたたかみも感じられます。
また、若女将には、着物を年齢の変化とともに楽しむことを教えていただきました。
過去に「あまり似合わないかも」と思った手持ちの着物が、その時よりも年齢を重ねた現在の自分だとしっくりくる、なんてことがあるかもしれませんね。

㐂宵インタビュー前編もご覧ください!

着物が似合う若女将特集 第2回
~「㐂宵(きよい)」(前編)
お店の雰囲気やこだわりについて~