半衿の役割

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半衿とは着物の下に着る「長襦袢につける衿」のことを指します。

幅15cm、長さ100cm程度と実際の襟の半分程度の長さであることから「半衿」と呼ばれるようになりました。写真でみると、首元から見える白い襟の部分ですね。

この半衿、最初から長襦袢についているわけではありません。長襦袢本体には「地襟」といって、もともと襟がついています。

既についている襟になぜ上から半衿を重ねるのでしょうか。 それは長襦袢本体や着物を地肌からの皮脂や汗の汚れから保護するためです。 長襦袢や着物を着るたびに洗濯(クリーニング)するのは費用も手間もかかりますよね。

特に着物の首元は汗や皮脂、またファンデーションがつきやすい部分となっています。 そのため、汚れやすい首元を半衿でカバーすることで半衿のみを洗えば良いようにしているのです。

また、半衿次第で顔映りが大きく変わるため、おしゃれアイテムとしても重要です。半衿には白無地のものから色付き、刺繍付きのものまであるので、様々なコーディネートを楽しむことができます。

半衿と地襟の間に襟芯を差し込むことで襟をきれいに美しく見せる役割もあります。

半衿の生地の種類

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半衿には着物と同様に様々な種類の素材が使われています。特に目につきやすい衿元を飾る半衿は季節やTPOによる使い分けが重要です。

塩瀬(しおぜ)

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着用時期:10月~5月下旬

横畝に特徴があり、袷の季節に合わせる最も基本的な半衿が塩瀬です。振袖や留袖、訪問着などの幅広い着物に合わせて使用することができます。

正装だけではなく、小紋や紬などの普段着の着物に合わせてもよいので、1つは持っておきたい万能の半衿になります。

絽(ろ)

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着用時期:6月~9月下旬

絽の半衿は夏の単衣にぴったりな半衿になります。見た目にも涼しげな隙間のある織り方が特徴です。単衣の季節になる前にぜひ手に入れておきたいですね。

縮緬(ちりめん)

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着用時期:11月中旬~2月中旬

縮緬は冬に身に着ける半衿と言えます。細かいシボが特徴的です。袷の着物に合わせてコーディネートしましょう。地厚でボリュームがあるので紬などの着物にも合わせやすいです。

麻絽(あさろ)

着用時期:6月下旬~8月下旬

麻路は夏紬や麻などの着物に最適です。せっかくの夏着物が厚手の半衿で重たい印象になってしまってはもったいないですよね。

麻路の半衿には涼しげなしぼりと透け感があるので涼しげな衿元で着物を楽しむことができます。

絽縮緬(ろちりめん)

着用時期:6月上旬~6月中旬、9月中旬~9月末

単衣の小紋や織りに合わせる半衿が絽縮緬です。さらりとした独特な着用感が特徴で、単衣の着物に合わせることが多いです。

楊柳(ようりゅう/きんち)

着用時期:5月初旬~5月末(春単衣)、9月中旬~9月末(秋単衣)

楊柳を5月の袷に合わせれば季節を先取りできます。織り方が縦向きになった縦しぼが印象的です。また9月の装いにもぴったりです。

半衿を選ぶ際の注意点

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半衿は大きく分けて白地の「白半衿」と色付きの「色半衿」があります。色半衿を使えばおしゃれのポイントにもなり着物姿がぐっと華やかになります。

最近ではレースや刺繍が施されたかわいいデザインの半衿もたくさんあるのですが、TPOに沿ったものを使用することが大切です。

礼装社交着街着・遊び着
白塩瀬羽二重白無地縮緬、塩瀬羽二重、刺繍半襟など
※お茶席は白衿
白無地縮緬、塩瀬羽二重、刺繍半衿、小紋染め半襟、色半衿など
※自由
・フォーマルな場では白半衿が無難

白半衿はフォーマルからカジュアルまで幅広く使用されています。 特に留袖、振袖、訪問着などのフォーマルな着物では正絹の白半衿がよいでしょう。

塩瀬(塩瀬羽二重)の半衿を1枚持っておくと冠婚葬祭などの正式な場所でも対応できます。

逆にカジュアルな場面では発色、光沢のはっきりした化繊の半織がよく合います。

・弔辞の際には刺繍もNG

慶事の際には白地に白・金・銀の刺繍が入っていても構わないのですが、弔辞の際には刺繍のない無地の半衿を選びましょう。

半衿の付け方

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最近では襦袢に既に半衿がついているものもありますが、基本的には半衿は自分でつけます。手縫い、両面テープを使用する方法、安全ピンで付ける方法の3種類をご紹介します。

手縫い

くけ縫いは半衿を糸と針で縫い付ける基本の縫い方です。慣れないうちは大変ですが、コツをつかめば15分ほどでできるようになります。

ポイント ①半衿、長襦袢の衿をピンと張って待ち針を打つ ②本ぐけで縫うのが基本だが、見えない部分はざっくりでもOK ③抜き衿の裏側は半衿を突っ張らせて細かく縫う

両面テープ

半衿を変えることで様々なコーディネートを楽しみたい!という方は毎回半衿を縫い付けるのは少し大変ですよね。そんな方には両面テープの使用をお勧めします。

やり方は、両面テープを使って半衿を貼り付けるだけです。現在では半衿用の両面テープも販売されているようです。

事務用の両面テープでも問題ないですが、製品によってははがした後のべたつきが発生する物もあります。また、はがすときに多少生地を傷めてしまうので、正絹の半衿にはおすすめしません。化繊の手軽に洗える半衿などで試してみてください。

ポイント ①テープを貼るときは背中心から端に向かって ②背中心からテープを少しずつはがしながら貼る ③軽く引っ張りピンと張った状態で貼る

安全ピン

安全ピンで半衿を付ける方法もあります。こちらは手縫いの代わりに安全ピンで生地をすくってとめてしまう方法です。手縫いの方法よりも少し生地が浮いてしまうのが難点ですが手軽に付けることができます。

ポイント ①表面からピンが見えないようにする ②5箇所ほど付けて固定する

両面テープや安全ピンを利用すれば簡単に短時間で半衿を付けることができます。カジュアルな場に手軽に着物を着ていきたい、という場合にはこのような方法を利用してみてもいいでしょう。

半衿のお手入れ

半衿は首回りに触れるものなので、汚れているように見えなくても見えない皮脂汚れがついているものです。皮脂汚れは時間がたつと色が変わってしまうのでこまめにお手入れをすることが大切です。

正絹の半衿であれば手洗い、ポリエステルであればネットに入れて洗濯機で洗うことができます。ただし、刺繍や複雑な紋織り、色物、縮緬の半衿は色落ちやほつれの原因になるのでクリーニングに出したほうが安心でしょう。

正絹の半衿のお手入れ方法

1.長襦袢から半衿を取り外す

生地を傷めないように半衿の縫い糸は引っ張らず、できるだけ細かく切って外すようにしましょう。

2.つけおき洗いをする

ぬるま湯におしゃれ着用洗剤を数摘とかし、半衿を数時間から一晩程度つけおきします。汚れがひどい場合には歯ブラシなどでやさしくこすります。

3.すすぎ洗いをする

汚れが落ちたらすすぎ洗いをします。洗剤が残ると変色の原因となるのでよくすすぎましょう。

4.水気をとって乾かす

脱水はぎゅっとねじって絞るのではなく、タオルなどで挟んで上からキュッと押すようにしてください。縦に横にかるく引っ張り、縫い目をまっすぐにして風通しの良い直射日光の当たらない場所で干します。

5.アイロンがけ

半衿が乾ききる前に生地目に沿って伸ばすようにアイロンをかけます。適度に水分が残っているほうが小じわもよく伸びます。きちんと当て布をし、アイロンの温度に注意してください。


半衿を使いこなすことができれば着物のコーディネートをもっと楽しむことができます。半衿は手ぬぐいやはぎれなどを切って自作することもできるので、さまざまな半衿を試してみてくださいね。