ポリエステル着物とは

ポリエステル着物とは

ポリエステル着物とは、石油などからつくられる化学繊維の素材の着物のことです。ポリエステル繊維は、化学繊維の中でも「合成繊維」に分類され、国内では最も生産量および使用量が多い繊維です。

絹や麻などの天然繊維は、生地が繊細なため、自宅でのお手入れが難しく、着物専門店に依頼したほうが良い場合があります。一方、ポリエステル繊維は、生地が丈夫で、比較的お手入れしやすい着物となっています。

ポリエステル着物の生地の特徴

ポリエステル着物の生地の特徴

天然繊維でつくられた着物と比べると、お手入れしやすいポリエステル着物。しかし、いくら丈夫なポリエステル着物でも、丁寧に扱わないと生地が傷んでしまうこともあります。

ポリエステル着物をなるべく長く、美しい状態に保つためには、生地のことをしっかりと知る必要があります。次に生地の特徴を見ていきましょう。

ポリエステル着物の長所

ポリエステル着物の長所

ポリエステル製の着物の長所は以下の通りです。

  • 丈夫
  • 湿気に強い
  • 型崩れしにくい
  • 軽い
  • シワになりにくい
  • 乾きが早い
  • 縮みにくい
  • 虫食いの心配が少ない
  • 日差しに強い
  • 熱に強い
  • 安価
  • 薬品全般に強い

ポリエステル繊維は、強度が強く、摩擦にも強い耐性を持っているので、ポリエステル着物は、洗濯しやすい素材になっています。また、日光や熱、水にも強く、シワになりにくいという特徴もあり、乾きが早く、洗濯してもシワが残る心配も少ないです。

ポリエステル着物の短所

ポリエステル着物の短所

次に、ポリエステル製の着物の短所は以下のようになっています。

  • 色落ち・色移りしやすい
  • ゴミやホコリが付きやすい(静電気)
  • 毛玉ができやすい
  • 通気性・吸湿性がよくない

ポリエステル素材は、洗剤の相性によって色落ちしやすくなることや、物の染め方によっては色落ちすることがあります。また、購入してすぐに他の衣類と一緒に洗濯すると、色移りしやすいというデメリットがあります。さらに、洗濯の仕方によっては静電気が起きやすくなります。

ポリエステルは摩擦に強いですが、他の素材と擦れると毛羽立ちし、毛玉ができやすくなるという特徴もあります。また、通気性や吸湿性は、天然繊維と比べるとあまりよくないので、夏の暑い時期には暑く感じる人もいるかもしれません。

ポリエステル着物のお手入れ方法

ポリエステル着物のお手入れ方法

次に、ポリエステル着物のお手入れ方法をご紹介します。

①洗濯表示(絵表示)を確認する

洗濯表示

まず、着物の内側についている、洗濯表示を確認しましょう。ポリエステル着物と一口に言っても、着物自体がポリエステル素材でも、糸に絹糸が使われていることもあります。着物の種類によって、手洗いができないこともあるので、洗う前に必ずチェックしてくださいね。

洗濯表示のマークの意味

マークの意味

以下で、ポリエステル着物に表示が多い、洗濯表示の意味を確認してみましょう。

マーク意味
洗濯の仕方 30℃(液温)を限度に非常に弱い洗濯ができる
漂白の仕方 塩素系や酸素系漂白剤が使用できない
タンブル乾燥 温風で洗濯物を回転させる乾燥機等は使用できない
自然乾燥 日陰でぬれつり干し(洗濯機の脱水やねじり絞りをしないで干す方法)する
アイロンのかけ方 150℃(底面温度)を限度にアイロンがけできる
クリーニング パークロロエチレンや石油系溶剤によるドライクリーニングができる

購入時期によっては表示が異なることもあるので、表示された絵の意味が分からない場合は、ご自身で調べてみてくださいね。

②目立つシミを洗濯前に落とす

次に、着物の汚れをチェックしましょう。洗濯で落とせなさそうな目立つ汚れは、洗い残しをなくすために手洗いしておくことをおすすめします。

シミ

シミを落とすときの注意点

●用意するもの
  • タオル:木綿の布などの柔らかめのタオルがおすすめです。
  • 液体洗剤:おしゃれ着用洗剤の中性のものを使用します。また、変色や色落ちを避けるため、蛍光漂白剤が含まれていない洗剤を使用しましょう。
  • 綿棒:シミが多い場合は多めに用意しておきましょう。
  • シミの落とし方

    1.タオルをシミがある部分の裏におきます

    2.シミの部分に液体洗剤を少しつけて、綿棒でトントンと優しく叩きます

    3.綿棒に水を含ませて、もう一度優しく叩いて汚れを浮かします

    4.汚れが浮くまで手順の2と3を繰り返します

    5.水ですすぎます

    ③洗濯する

    洗濯
    ●用意するもの
  • 液体洗剤:おしゃれ着用洗剤の中性のものを使用します。また、変色や色落ちを避けるため、蛍光漂白剤が含まれていない洗剤を使用しましょう。
  • 柔軟剤:静電気・毛羽立ち防止のために使用します。
  • 洗濯ネット:きもの専用ネットだとより綺麗に洗えます。
  • 洗濯の仕方

    1.きものを洗濯ネットにたたんで入れます

  • ネットに入れると、他の洗濯物と絡みにくくなります。また、着物をたたんで入れることで、シワが付きにくくなります。ここでたたんだ時のシワは、洗濯すると残ってしまうので、丁寧にたたみましょう。
  • 購入してから最初の数回は、1着ずつ洗濯ネットに入れて、他の衣類と分けて洗濯することで、色移りを避けることができます。
  • 2.洗剤と柔軟剤を入れます

    3.洗濯モードを【ソフト洗いモード(手洗いモード)・洗濯3~5分・脱水30秒~1分以内】に設定します

    脱水時間を短くすることで、水分の重さで着物のシワを伸ばしやすいです。

    ④干す

    干す

    洗濯が終わったら、着物を干して自然乾燥させます。乾燥機などは生地が傷みやすく、シワが残ってしまうこともあるので使用しないようにしましょう。

    ●用意するもの
  • 和装用ハンガー(きもの用ハンガー):バスタオル用の大きめのハンガーを代用できます。
  • 新聞紙(またはバスタオル)
  • 干し方

    1.干す場所の床に新聞紙を敷いて、床が濡れないようにします

    干す場所の環境は、直射日光の当たらない、風通しの良い場所を選びましょう。

    2.干すときは、衿と袖の形をしっかりと整えましょう

    3.完全に湿気がなくなるまで干します

    ⑤アイロンをかける

    アイロンをかける

    ポリエステル着物は、綿や麻の着物などを比べて生地がシワになりにくい素材です。洗濯の際に脱水時間を短くすれば、水分の重さでシワが取れます。

    ●用意するもの
  • アイロン:ドライ設定にできるものを使用します。
  • アイロン台
  • 霧吹き
  • あて布:30~40cmくらいの白い薄手の木綿がおすすめです。濃い色の着物はアイロンをかけると生地がテカりやすいので、あて布を使用しながらかけます。
  • アイロンのかけ方

    1.霧吹きで湿らせたあて布を着物の上におきます

    霧吹きを使うときは、水が着物にかからないように注意しましょう。

    2.アイロンを持っていない方の手で着物を少し引っ張りながら、布目に沿ってアイロンをかけます

    アイロンの設定温度は中温(130℃から150℃くらい)で、スチーム設定だと均等にスチームが出ないと一部だけシミができることがあるので、ドライ設定でアイロンをかけましょう。また、ポリエステルは熱に弱いので、アイロンは当てすぎないようにしましょう。

    3.熱と湿気を完全に取ります

    ポリエステル着物の保管方法

    次でポリエステル着物の着物の保管方法をご紹介します。

    ①着物をたたむ

    たたむ

    着物をたたむ時は、折り目に沿ってたたみましょう。袖などに物が入っていないかを確認しながらシワがつかないように丁寧にたたみます。

    ②収納する

    収納する

    ポリエステル着物は湿気に強く、虫食いなどの心配がないので、洋服のようにプラスチック製ケースや和だんすに収納できます。絹の着物のように、たとう紙や除湿剤、防虫剤の使用も基本的に必要ありません。

    ただし、着物を1段に詰め込みすぎてしまうと着物にシワができてしまうので、入れすぎないように注意しましょう。

    おわりに

    いかがでしたか?ポリエステル着物は着物の種類の中でも、生地が丈夫で、自宅でお手入れしやすい着物の一つです。保管の際に、カビや虫食いなどの心配がないことも安心ですね。

    少しでもポリエステル着物を長く、綺麗な状態で保管するために、ポリエステル着物の特徴を踏まえたうえで、着用後のお手入れと保管方法をしっかりと確認しておきましょう。